新たな試み実験室

映像制作会社がローカルAIを導入してみた。実際どこまで仕事に使える?

最初はなんとなくAIに聞いてみたのがきっかけでした。仕事をしていて「これいつも面倒だなー」と思ったとき、省力化できないかAI(Claude)に聞いてみると毎回、思った以上にあっさり「できますよ」と返ってきます。ほんとかよーと思いつつ任せてみたら、できてしまいました。「今までの労力は何だったのか…」これに気がついてから、私のような一人社長にとってはかなりの負担軽減につながりました。

ただ、そこでネックになってきたのが、食わせる情報の選別です。お客様の個人情報や案件の機密情報を、何も考えずにAIに投げるわけにはいきません。「AIに任せて、省ける仕事は省く」をやりたいのに、毎回そこで固まってしまいます。

そのとき行き着いたのが「ローカルAI」でした。情報が外部に一切送信されないので、どんな情報でも躊躇なく食わせられる。サーバーに選んだのはMac mini M4 Pro 64GBです。

Mac mini M4 Pro 64GB をAIサーバーにした理由

理由は3点です。

1点目は、AIを動かすには膨大なグラフィックメモリが必要だということ。Macは「ユニファイドメモリ」といって、メインメモリとグラフィックメモリを共有しているので、一般的なWindows機よりも多くのメモリを確保できます。賢いローカルAIが安価に載せられます。

2点目は、省電力で静音、コンパクトなこと。事務所の隅で常時動かしておくには、めちゃくちゃ大事です。

3点目は、単純にMacが好きだから(笑)かわいくないですか?Mac mini。

どんな環境で動かしているか

LM Studio というローカルAIを動作させるアプリで、Googleの Gemini のローカル動作版「Gemma 4」を動かしています。オフィスのWi-Fiだけでなく出先からもアクセスできるようにしてあるので、出張のときも使えます。

実際に使えている仕事

ざっと挙げると、こんなところです。

  • 15年分の経理データをもとに、新規案件の見積を自動生成する見積システム
  • 案件の制作進行についてのアドバイス(相談相手というか、壁打ち相手)
  • 文書やメールの要約
  • ロケ日の交通情報の整理
  • お客様から受け取ったデータをもとにした、動画の資料づくり

15年分の経理データを丸ごと食わせるなんて、外に出るAIではちょっと考えられません。これらの用途はまさにローカルだからこそ実現しています。

クラウドに敵わないところ

画像、動画、音楽といった素材の生成もローカルでできるようにはしていますが、これらは正直クラウドのモデルのほうが圧倒的に高品質です。映像制作の素材づくりはそっちを使っています。

逆にローカルが強いのは社内のデータを扱う仕事です。過去の見積や案件の情報を渡すと、うちの事情を踏まえた回答が返ってきます。そのために社内データを渡すことにも、外に送信しない環境なら抵抗がありません。そしてAIに情報を投げるとき、固有名詞などを伏字にする必要がないので手間も省けます。毎回のことなので、これは大きな差です。

使ってみて分かった制約

Macはメモリが多いのでより賢いAIを乗せて動かすことができます。ただその前に処理速度のほうが頭打ちになります。一方、Windows機の NVIDIA(CUDA)は、メモリ上限が厳しい反面、速度は桁違いに速い。たとえば動画生成をローカルでやりたい、こういうときには強いグラフィックボードを積んだWindows機が必須です。うちの場合は社内データの処理がメインなので、Mac miniでよかったと思っています。動画生成をメインにするなら違う機種を選んでいたと思います。ただ、今は本当にメモリもグラボも高いんですよねー(汗)

一人社長として、AIをどう使っていくか

弊社のようなワンマンに近い会社の場合、実作業やロケで手一杯で、新規のお問い合わせに即レスというわけにいかないこともあります。見積や資料づくりで毎回ゼロから考えなくてよくなっただけでもかなり助かっています。

しかし自分の考えを成果物に取り入れずAIに丸投げしたり、人が送ってくれたメールに返信する際、メールの参考程度の要約や下書きには用いますが、そのまま送ることはしません。人の代わりに仕事をさせるというより制作工程の補助。今のところこの位置付けがいちばんしっくりきています。

ここで得たノウハウは、制作会社や企業の内製チーム向けの「AI作業効率化支援」としてもご提供しています。字幕、ナレーション、自作ツールといった個別の話はまた別のコラムで書いていきます。

株式会社ブルーミント
代表取締役社長 篠﨑 郁寿

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